【クランジ競馬場(シンガポール)訪問記】シンガポールらしくない場所。

シンガポール

訪問:2017年6月9日

【2026年9月追記】クランジ競馬場は、2024年10月5日の第100回グランド・シンガポール・ゴールドカップを最後に閉場しました。1842年から続いたシンガポール競馬は、約180年の歴史に幕を下ろしています。約120ヘクタールの敷地は住宅などの再開発のため、2027年3月までに政府へ返還される予定です。この記事は、在りし日のクランジの記録としてそのまま残します。

世界中の競馬場を巡る旅。今回は赤道直下のシンガポール、クランジ競馬場(Kranji Racecourse)です。2015年まで国際GⅠのシンガポール航空インターナショナルカップとクリスフライヤー・インターナショナルスプリントが行われ、日本馬にも縁の深い競馬場でした。

クランジ競馬場について

シンガポール・ターフクラブが運営する、シンガポール唯一の競馬場。市街地のブキ・ティマ競馬場から移転し、2000年に開場しました。コースは左回りの芝コース(1周2,000m)と、その内側のポリトラック(オールウェザー)コースの2つ。開催は主に金曜夜のナイターと日曜の午後で、シンガポールのほかマレーシアや香港のレースの馬券も場内で買えます。

シンガポール航空インターナショナルカップはコスモバルク(2006年)とシャドウゲイト(2007年)が2年連続で勝利。クリスフライヤー・インターナショナルスプリントは、スプリンターズSを制したテイクオーバーターゲットや、高松宮記念を勝ったエアロヴェロシティが勝ったレースとしても知られています。

アクセス:MRTクランジ駅から徒歩

MRT南北線クランジ駅のホーム
最寄りはMRT南北線のクランジ駅

最寄りはMRT南北線(North South Line)のクランジ駅。市内中心部から30〜45分ほどです。最寄り駅名がそのまま競馬場の通称になっているのは、京都競馬場を「淀」、東京競馬場を「府中」と呼ぶのと同じで、日本人にも馴染みやすいところ。

クランジ駅から競馬場への案内看板
改札を出たら、看板の表記に従って進む

入場門:EZ-linkで入れる

クランジ競馬場の入場ゲート
入場門。MRTの改札のようなゲートが並ぶ

駅から歩くと入場門が見えてきます。チケットカウンターらしきものは見当たらず、あるのはMRTの改札のようなゲート。皆さん財布やカードをかざして入っていきます。試しに手持ちのEZ-link(交通系ICカード)をかざしてみると、ゲートが開いてS$5(約400円)が引かれました。入場料はEZ-linkで払えるということです。

パドック

ナイター照明に照らされたクランジ競馬場のパドック
ナイター開催で、屋内のパドックが明るく照らされる

入場して建物に近づくと、すぐにパドックが見えてきます。この日は金曜夜のナイター開催。筆者がこれまで行ったナイター競馬は園田と帯広ばんえいだけで、ナイターの屋内パドックは初めてでした。

事前に調べた限りでは短パンやサンダルはドレスコードでNGとのことでしたが、実際の来場客は地方競馬のようなラフな身なりの方ばかり。ドレスコードもへったくれもありません。カジノができた影響で、カジノに入りにくい現地の人(シンガポール国民はカジノ入場にS$100の入場税が必要。外国人は無料)が多く、外国人が少ないからかもしれません。

パドックから本馬場へ続く馬道
パドックから本馬場へ続く馬道も眺められる。アメリカの競馬場に似た造り
2階から見たクランジ競馬場のパドック
2階から見ると、楕円と正円の間のような形。周回は反時計回り
パドック前の大型ビジョンのオッズ表示
パドック前の大型ビジョンでオッズを確認できる

オッズ表示のWINSは単勝、PLASは複勝。最低購入額S$5に対する配当なので、例えば1番のWINS 17・PLAS 6は、単勝3.4倍・複勝1.2倍ということになります。馬番はハンデの重い順に並んでおり、同じレースで最も重い斤量が59.0kg、軽い斤量が50.0kgと、かなりのハンデ差があります。

クランジ競馬場のパドックを周回する馬
パドックを周回する馬

馬券の買い方

クランジ競馬場の馬券売り場
馬券売り場

馬券はマークシートを記入して窓口で購入します。日本のようにあちこちに鉛筆が置いてあるわけではありませんが、窓口で言えばもらえます。機械での購入も可能ですが、専用カードのようなものが必要でした。

クランジ競馬場のマークカード2種類
マークカードは2種類。左が単勝・複勝専用、右がその他の券種

左のカードは単勝(WINS)・複勝(PLACE)専用。右のカードでは馬単、3連単、4連単、3連複、4連複などが買えます。開催場、レース番号、券種、馬番、購入単位を記入。マークカードを見て初めて知りましたが、ここではマレーシアと香港の馬券も買えます。

クランジ競馬場で購入した馬券
右が7番の単勝S$5、左が7-10の馬単裏表S$5ずつ

記入したマークシートを窓口で渡し、お金を払うと馬券がもらえます。写真は右が7番の単勝S$5、左が7-10の馬単(裏表)S$5ずつの計S$10。馬連という券種がなく、基本的に馬単の裏表で買うことになるので注意が必要です。

クランジ競馬場の馬券売り場の様子
窓口の様子

レース観戦

ナイターのクランジ競馬場のコースとスタンド前
ナイター競馬はテンションが上がる

外は赤道直下のムワッとした蒸し暑さ。汗をかきたくない方は、エアコンの効いた2階の屋内スタンドから観戦できます。馬場はやや遠くなりますが、レースは見やすく、何より涼しい。

クランジ競馬場のレースの様子
レースは18:20から30分刻みで8レース。最終が終わったのは22:30頃

レースは18:20から30分刻みで8レース、最終レースが終わったのは22:30頃でした。南半球的なスプリント志向で、この日もほとんどが1200〜1600m戦。馬場は手前が芝、奥がオールウェザーです。

クランジ競馬場の大きなスタンド
スタンドはかなり大きく立派。上層階は馬主席やVIP席
クランジ競馬場のゴール前
ゴール前

換金

電光掲示板のALL CLEAR表示
「ALL CLEAR」が日本でいう「確定」

電光掲示板に「ALL CLEAR」と表示されたら確定。窓口に当たり馬券を渡すだけで換金できます。お金と一緒に、配当金額が印字された控えももらえるので、記念に取っておくのにちょうどいい。左は30倍の馬単をS$2分買っていたのでS$60、右は17倍の単勝を1口(S$5)でS$17の配当でした。

当たり馬券の控え
当たり馬券の控え。配当額が印字されている

館内設備

クランジ競馬場のマッサージチェア
変わり種のマッサージチェア。座ったまま眠り込む人も

スタンド内にはマッサージチェアなど変わり種の設備も。2階席へ上がる際にも入場門のような改札を通るので「2階も有料なのか」と係員に聞くと「無料だから普通に入っていい」とのこと。では皆さん何をタッチしていたのか、謎です。

クランジ競馬場の2階席の改札
2階席へ上がる改札。無料

ギフトショップ

クランジ競馬場のギフトショップ
鉄火場には似つかわしくない、落ち着いたギフトショップ

店内には、今は廃止となったシンガポール航空インターナショナルカップの記念キャップやポロシャツ、シンガポール・ターフクラブのロゴ入りポロシャツが並んでいました。

シンガポール航空インターナショナルカップの記念グッズ
シンガポール航空インターナショナルカップの記念グッズ
ロケットマンのキャップ
ロケットマンのキャップ

スプリンターズSに圧倒的1番人気で参戦しながら日本馬に敗れた名スプリンター、ロケットマンのキャップも。この国では英雄的な馬だったのでしょう。

購入したシンガポール・ターフクラブのポロシャツ
ターフクラブのポロシャツ。S$16がセールでS$13少々に

せっかくなのでターフクラブのポロシャツを1着購入。S$16でしたが、ちょうどグレート・シンガポール・セールの期間中で、S$13少々(約1,100円)で買えました。

フードコート

クランジ競馬場のフードコート
ホーカー形式のフードコート。海南鶏飯もある

館内の食事はホーカー形式のフードコートで、海南鶏飯(チキンライス)なども売られています。料金も街中のホーカーとさほど変わらず、気軽に利用できます。

まとめ

クランジ競馬場は、日本の地方競馬と中央競馬が融合したような雰囲気でした。スタンドは中央競馬並みに立派。一方で、この日は大きなレースがなかったこともあり、客層は華やかとは言い難く、女性客もほとんど見かけません。旅行者の女性が一人で訪れたり、デートで訪れたりする場所には向かず、華やかさを求めるならカジノへ。古き良き「鉄火場」を求める人にこそおすすめできる場所でした。

同じような空気の東南アジアの競馬場としては、クアラルンプールのセランゴール競馬場があります。閉場した競馬場の記録はこちら、シンガポールの競馬場の記事一覧はこちら。