訪問:2024年4月6日
レバラン休暇でイタリア周遊旅行に行ってきました。ミラノから、ヴェネチア・フィレンツェ・ナポリ・ローマです。イタリアと言えばヨーロッパ、ヨーロッパと言えば競馬です。
コロナ禍明けで初めて行く欧州、競馬場を訪れないわけには行かない!しかも実はイタリアには至る所に競馬場があり色んなところに行ってみたかったのですが、スケジュールの都合上泣く泣くミラノとローマのみに絞りました。
今回はミラノ・サンシーロ競馬場の訪問記です。

イタリア競馬の概要
イタリアには各都市に歴史ある競馬場があり、春から秋にかけてトロット(※)とギャロップレースが行われています。
近年ではずさんな組織運営や売上の低迷から、度々開催がストップする事態となっており、経営問題が深刻化しています。特に最近の凋落が著しく、2019年にはGⅠ競争が消滅(全て格下げ)、2020年には格付けがパート2国に下げられてしまいました。
トロットとは?
繋駕速歩競走とは競馬の競走の一種である。 これは騎手が競走馬のうしろにある繋駕車に乗って競走をするもの。平地競走と違い、騎手はジョッキーではなくドライバーと呼ばれ、サラブレッドではなくスタンダードブレッドをはじめとしたトロッターが競走馬として使用される。発祥は古代の戦車競走に由来する。
サンシーロ競馬場について

サンシーロという名前は競馬場よりも、ACミランとインテルの本拠地であるサッカースタジアムとして世界的に有名です。スタジアムは競馬場の目と鼻の先であり、試合開催日はスタジアムの歓声が競馬場まで届きます。
歴史
ローマ・カパネッレ競馬場と並んで、イタリアを代表する1920年に開設された競馬場です。ミラノ大賞典や伊オークスなど重要な国際レースが開催されます。
歴史的な馬産家として知られるフェデリコ・テシオ氏の生産馬にしてイタリア競馬を代表する名馬リボーは、同競馬場で12勝(16戦無敗)を挙げました。
1986年のミラノ大賞典には、日本から長期的な海外遠征をおこなっていたシリウスシンボリが参戦したこともあります。
アクセス
ミラノ中央駅から車(タクシー)で行くと約30分程度です。行きはUberを使いましたが、問題なくいけば30ユーロくらいです。問題なくというのは、ACミランのゲーム開催日であったため、運ちゃんが行先を競馬場ではなくスタジアムと勘違いしてしまい、競馬場の入り口を通り過ぎてスタジアムまで行ってしまい、結局戻ってくるまで遠回りをしてトータル40ユーロくらいかかりました。
メトロ5号線のSan Siro Ippodromo駅が最寄り駅になります。ただメトロで帰ろうとしたら、ちょうどACミランの試合終了と被ってしまったせいか、メトロの出入口が封鎖されていました。隣のSegesta駅も同様で、やむなしメトロ1号線の駅であるLotto駅まで歩くハメになりました。結局30分くらいは歩きましたが、直接Lotto駅まで行っていれば20分程度です。
サンシーロスタジアムでのサッカー試合開催日はメトロ5号線が封鎖されるので要注意。
入場料
入場料は大人5ユーロ(2024年シーズン)。未成年は無料です。開幕日など無料開放日もあるので、公式サイトやInstagramで確認しておくといいでしょう。入口はPiazzale dello Sport側とPiazzale Lotto側の2か所にあります。

開催日・開催情報について
2024年のミラノの競馬は3月から始まりました。ただ正確な開催日の情報は2月くらいまでアナウンスされず、また前述のように経営問題からしばしば開催が取りやめられることから、本当に開催されるのだろうか?という心配がつきまといます。
公式ウェブサイトのカレンダーを見ても、開催開始の3月くらいまで詳細が全く上がってきませんでした。むしろ最初に日付が分かったのがInstagramのポストだったので、こちらもチェックしておくといいです。
イタリア語ばかりで理解も難しいですが、なんとなく競馬開催が夕方からなのは理解しました。だいたい15時とか15時45分から第1レースが始まり、そこから40分間隔で6レース程が行われます。パドック周回が発走の15分前くらいになります。
イタリア競馬での馬券の買い方

馬券売り場は見るとわかると思います。ただマークカードがないため、スマホのメモ帳などを使い、自分が買いたい馬券を伝える必要があります。必要情報は、レース番号・券種・馬番号・金額です。
上記の写真だと、第2レース(Corsa 2)の左が単勝(Vincentte)4番10ユーロ(倍率8倍、下の80ユーロは当たった時の金額)、右が馬連(ACC)3-4番10ユーロということになります。
馬券のメモ例
Corsa 6
Vincente
No.6 : €10
(第6レースの6番単勝10ユーロという意味)
| Vincente | ヴィンチェンテ | 単勝 |
| Piazzato | ピアッツァット | 複勝 |
| Accoppiata | アコピアタ | 連勝式 |
| Trio | トリオ | 3連勝単式 |
| Quarte | クアルテ | 4連勝単式 |
| Quinte | キンテ | 5連勝単式 |

レープロによると、この日は「Sabato 6 Aprile 2024 – Corse al Galoppo」。土曜の午後、平地競走の開催日です。
いざ、競馬場へ。
噴水と白亜の館

入場ゲートを抜けると、噴水の向こうに白亜の建物が出迎えてくれます。1920年開設の歴史を感じさせる佇まいで、この一角だけ切り取れば、どこかの貴族の館のようです。さすが欧州の競馬場。
場内マップ

場内は「競馬場」というより、緑豊かな公園のようです。マップには「SCOPRI SAN SIRO(サンシーロを発見しよう)」とあり、スタンドやパドックのほか、厩舎エリアや敷地内の見どころが案内されています。左下の赤いひし形がパドック、中央がスタンドと馬券売り場です。
スタンド

スタンド前の広場は、とにかく広い。そして、人がいない。土曜日の開催だというのにこの人影のまばらさで、奥にはミラノの再開発地区の高層ビルが見えています。

スタンドの座席はこんな感じ。屋根付きの立派なスタンドですが、埋まっているのは最前列の常連さんの一角だけ。設備が綺麗なだけに、余計に寂しさを感じます。
パドック

パドックは芝生に囲まれた周回路で、柵が低く、馬との距離がとても近いです。花をつけた木の下を、厩務員に曳かれた馬がゆっくり周回していきます。周回が始まるのは発走の15分前くらいから。

日本のパドックのように整然と周回するのではなく、芝生の上を思い思いに歩き回っている感じです。騎手が跨ったまま返し馬に出ていく馬もいて、この自由さもイタリアらしいところ。
馬券売り場

馬券はスタンド1階の売り場で買います。イタリアの大手ブックメーカー SNAI の自動発売機がずらりと並び、その上のモニターで他場のレースも流れています。機械はイタリア語なので、慣れないうちは有人窓口でメモを見せるのが確実です。

奥には有人窓口も。天井の高い立派なホールですが、並んでいる人は数人でした。
オッズの見方

オッズ画面は、左側が QUOTA FISSA(固定オッズ)、右側が TOTALIZZATORE(トータリゼーター、日本と同じパリミュチュエル方式)。同じ単勝(Vincente)や複勝(Piazzato)でも、2種類のオッズが並んでいます。固定オッズは買った時点の倍率で確定するので、先ほどの馬券にも倍率が印字されていたわけです。
写真は第2レース「Premio Sogni di Grande Nord」、芝1,600m、7頭立て、16時20分発走。
レース

コースは芝。ラチ沿いまで出て観戦でき、ターフビジョンも完備しています。客が少ないぶん、ゴール前の特等席も取り放題。直線での叩き合いを、目の前で見ることができました。

奥に見える2本の塔は決勝審判の塔。イタリア語の実況が響く中、2頭が並んでゴール板に飛び込んできました。
日本でも馴染みあるジョッキー

出馬表を眺めていると、見覚えのある名前が。短期免許で来日していたニコラ・ピンナ騎手と、ダリオ・バルジュー騎手です。第2レースではピンナ騎手が4番 Lethal Dock、バルジュー騎手が1番 Aramis に騎乗。迷わずピンナ騎手の単勝を10ユーロ買いました。固定オッズ8倍、当たれば80ユーロです。
結果は、外れ。第3レース(17時発走、ハンデ戦の Premio C’era una volta il Derby Club、芝1,800m)でもピンナ騎手は2番 Confort Zone に乗っていましたが、こちらも人気は6番手ほど。日本で見慣れた騎手が目の前で乗っているだけで十分楽しいので、馬券の結果は気にしないことにします。
ビール休憩

レースの合間はビールで休憩。4月のミラノは日差しが気持ちよく、がらんとした広場でコースを眺めながら飲む一杯は格別です。40分間隔の進行なので、時間はたっぷりあります。

ビールはスタンド1階のバーで。カウンターの上にはずらりと騎手の勝負服の絵が並んでいます。イタリアらしく、ビールだけでなくワインやスプリッツも頼めます。
予想は乗っかるもの

イタリア語の出馬表は正直まったく読めません。そこで頼りになるのが、レープロに載っている「TIPSTER」欄。記者や場内実況など6人の予想家が、各レースの本命を挙げています。6人中何人が推しているかを数えるだけで、だいたいの人気は分かります。下には「IL CAVALLO DEL GIORNO(本日の一頭)」の欄も。言葉が分からない国では、予想は乗っかるものです。
レープロの隅には次回以降の開催日も載っていました。4月27日にはGⅢのアンブロジアーノ賞が組まれています。
厩舎エリアと帰り道

場内マップにあった厩舎エリアにも足を延ばしてみました。木立の中の小道を、レースを終えた馬が厩舎へ帰っていきます。柵が低く、こんなところまで歩いて入れるのも、客が少ないイタリア競馬ならでは。

競馬場の外周まで出ると、目の前にサンシーロスタジアムがそびえています。この日はACミランの試合日。ここまで歩いて来られる距離感でした。
まとめ
競馬場は綺麗で、歴史があって、馬との距離も近い。さすが欧州の競馬場という感じです。ただ、それだけに客入りの少なさがどうしても気になりました。リボーを生み、凱旋門賞馬を何頭も送り出した国の競馬が、GⅠをすべて失い、パートⅡ国に格下げされ、土曜の午後のスタンドがこの静けさ。イタリア競馬の栄華と衰退を、同時に感じた一日でした。
それでも、日本で見たことのある騎手が目の前で乗っていて、ビール片手にのんびり馬券を楽しめる。入場料は5ユーロ。ミラノ観光のついでに、サッカーではなく競馬のサンシーロにも足を運んでみてはいかがでしょうか。帰り道に見えるスタジアムも、なかなかの迫力です。
次は、ローマのカパンネッレ競馬場へ向かいます。

