訪問:2016年11月5日
世界中の競馬場を巡る旅。今回はアメリカ・ロサンゼルス郊外のサンタアニタ競馬場(Santa Anita Park)です。しかもこの日は、世界の名馬が集まる競馬の祭典・ブリーダーズカップの2日目。カリフォルニアクロームとアロゲートの一騎打ちを、ゴール前で観てきました。
ブリーダーズカップとは
日本競馬が目指す海外の頂点といえば凱旋門賞ですが、世界の名馬が目指す頂点はブリーダーズカップ(Breeders’ Cup)といっても過言ではありません。毎年秋にアメリカで開催され、性齢・馬場・距離の異なる13のGⅠが2日間で行われます。特に2日目は1日に9つのGⅠ。世界最多です。
サンタアニタ競馬場について
1934年開場。ロサンゼルスの北東、アーケイディア(Arcadia)にあり、コースの向こうにサンガブリエル山脈が連なる景観で知られます。サンタアニタダービーやサンタアニタハンデキャップの舞台で、ブリーダーズカップの開催回数も最多。アメリカ西海岸競馬の中心です。
チケットの取り方
最初はアメリカのチケット取引サイトで指定席を買おうとしましたが、注文がキャンセルになったり、アメリカの住所(滞在先のホテル)でエラーが出たりで取れず。結局、ブリーダーズカップの公式サイトで、クラブハウスの「Walk Around」チケットを買いました。クラブハウスはゴールに近い側のエリアで、Walk Aroundは座席指定のない入場券。2日目(11月5日・土)の1日分が50ドル+手数料の計60ドル。オンラインでクレジット決済し、引き取りは現地のWill Call窓口です。
アクセス
ロサンゼルス国際空港から車で約50分〜1時間(渋滞次第)。メトロのAライン(旧ゴールドライン)アーケイディア駅から徒歩でも行けます。後述しますが、大レースの日は帰りの駐車場が大渋滞するので、レンタカーより配車アプリのほうが楽です。
到着は15時半。残り3レース
本来は11時過ぎにロサンゼルスに着き、ヌーヴォレコルトが出走するBCフィリー&メアターフに間に合うかどうか、という予定でした。ところが出発地で機材トラブルに見舞われ、ユナイテッドからデルタに振り替えた結果、到着は14時過ぎ。レンタカーで向かい、競馬場に着いたときには15時半を回っていました。残りは3レース。

おお、日本の国旗だ。と感動している場合ではありません。まずWill Call窓口を探しますが、すでに閉まっていました。近くの係員に声をかけ、なんとか入場許可証をもらいます。

クラブハウスは意外とラフ

クラブハウスでブリーダーズカップ。どれだけ豪華なことになっているのかと期待して入ってみると、中は意外と普通でした。ドレスコードがあると思い、例によってスーツで来たものの、Tシャツやジーンズ、サンダルの人も結構います。もちろん、派手な帽子のレディーやタキシードのジェントルマンもいました。館内ではサイレント・オークションが行われ、絵画やブーツが開始価格200ドルとか500ドルとかで出品されていました。

コース側のスタンドはさすがに人が多いですが、思っていたほどではありません。日本のGⅠに比べると余裕をもって歩け、柵の最前列まで悠々と到達できます。日本ダービーのように歩くスペースもない競馬場を想像していたので、意外でした。
馬場とコース

この日は快晴で、コースの後ろにはサンガブリエル山脈の山並みが綺麗に見えました。ダートはゴールデンゲートフィールズと同じく、砂というより完全に土の馬場です。


BCマイルの馬券と、目の前を通る名馬たち

残りはBCマイルとBCクラシックの2レース。まずはBCマイルを買ってみます。前情報なし、レーシングプログラムを見て有名なレースを勝っている馬を選ぶ、という方針で、アスコットのクイーンアンSとウッドバインマイルを勝っている2番人気のテピン(Tepin)から流しました。前年のBCマイルの勝ち馬でもあります。

BCといえどもさすがアメリカ競馬。パドックから本馬場へ向かう馬道が観客席と本当に近く、2〜3mの距離で名馬を見られます。この馬道は招待客やVIPも通れるようで、ドレスアップしたレディーたちがぬかるんだ土の上を歩き、誘導馬と写真を撮っていました。

BCマイル、テピンは2着

結果は1番人気が飛び、15倍ほどの馬が勝つ荒れたレースに。テピンは惜しくも2着でした。気を取り直して、場内をパノラマで一枚。カウボーイハットの兄ちゃんがいけています。インド人やアジア人、日本人も何人か見かけました。


BCクラシック、有力馬は2頭

いよいよ大一番のBCクラシック。1番人気はこの年6連勝中、ドバイワールドカップも制したアメリカ二冠馬カリフォルニアクローム。オッズは1.2倍ほど。このクラスになると日本にいても名声が聞こえてきます。一方、2番人気の3歳馬アロゲートは、レーシングプログラムを見ても前走GⅠ勝ち以外に目立った戦績はなく、なぜこんなに人気なのか分かりませんでした。当然、カリフォルニアクロームから買います。
パドックの人出は日本のGⅠ並み

スタンドと違い、パドックは人で溢れ返っていました。お目当てはカリフォルニアクローム。登場したときの歓声は一段とすごかったです。その後、馬道でエスピノーザ騎手を乗せたカリフォルニアクロームを間近で見ることができました。


アロゲート、残り50mの逆転
レースは序盤からカリフォルニアクロームが逃げます。そのまま先頭で最後の直線へ。後続を振り切って独走かと思われたそのとき、外からアロゲートが馬体を合わせてきます。ゴール前、両馬の激しい競り合い。観客からは「Go! Chrome!」の声。
結果は残り50mでアロゲートがカリフォルニアクロームをかわし切って優勝。ゴールの瞬間は歓声よりもため息と落胆の声が多く聞こえました。もちろん自分もその一人。単勝5.4倍、馬単5.0倍というあべこべな決着でした。



勝ったアロゲートは馬上でインタビューを受けながら、誘導馬に連れられて帰ってきました。ウイニングランはなさそうです。レース直後はため息も多かったものの、このときには惜しみない拍手が送られていました。後で調べると、アロゲートは前走のトラヴァーズステークスでプリークネスステークス馬などを13馬身ちぎってレコード勝ちしていました。人気の理由はこれでした。
アロゲートの後日談
このレースでアロゲートはロンジン・ワールド・ベストレースホース・ランキングの2016年世界1位に。翌2017年には、世界最高賞金のレースとして创設された第1回ペガサスワールドカップとドバイワールドカップを制し、テイエムオペラオーを抜いて歴代世界最高獲得賞金を更新しました。あの日、目の前で逆転した3歳馬は、世界最強になったのです。
土産物屋と、帰りの大渋滞

レースの余韻の中、土産物屋でTシャツや帽子を数点購入。パーカーが欲しかったのですが、ロゴが好みでない割に高かったので諶めました。
帰りの飛行機までは余裕があるのでカジノにでも、と駐車場へ行くと、車の大行列。駐車場を出るまでに1時間近くかかり、結局どこにも寄らず空港へ直行しました。レンタカーではなく配車アプリで来ればよかった。なおロサンゼルス国際空港は、上級会員でもカウンターと保安検査に時間がかかるので、早めの行動をお勧めします。
まとめ
避けられない飛行機の遅延で観られたのは2レース。それでも、その2レースのうちのひとつが、後に世界最強となる馬の誕生の瞬間でした。騎手も名馬も目の前を通り、スタンドは意外とゆったり。競馬の祭典は、思っていたより間近にありました。
同じ出張で訪れたゴールデンゲートフィールズ競馬場、同じロサンゼルスのハリウッドパーク競馬場跡地もあわせてどうぞ。

