訪問:2009〜2012年(学生時代)、2021年10月23日、2025年4月6日
世界中の競馬場を巡る旅。今回は番外編、兵庫県宝塚市にある阪神競馬場です。
大学時代、住んでいたのは阪神競馬場の隣の駅でした。開催日にはバイクで乗りつけて、GⅠの日は必ず現地。自分の競馬観戦の原点は、この競馬場にあります。当時の写真がガラケーと一眼レフから大量に出てきたので、今回は学生時代の阪神をたっぷりと。そして、コロナ禍の静かな阪神と、大観衆で埋まった大阪杯の阪神を、あわせて書いておきます。
阪神競馬場について
阪神競馬場は1949年の開場。2006年の大改修で外回りコースが新設され、内回り1周1,689m、外回り1周2,089mという、内・外で性格の違う2つの芝コースを持つようになりました。外回りは直線が473mと長く、桜花賞や阪神ジュベナイルフィリーズの舞台。一方の内回りは直線が短く、ゴール前に急坂が待ち構えます。大阪杯と宝塚記念は、この内回り2,000mと2,200mで行われます。
アクセス
阪急今津線の仁川駅で下車。改札から専用の地下道と連絡通路を歩いて5分ほどで入場門に着きます。梅田からは西宮北口で乗り換えて約30分、神戸・三宮からも同じくらいです。
学生時代の阪神競馬場(2009〜2012年)
初めてのGⅠ、2009年宝塚記念
大学に入って初めて競馬場で観戦したGⅠが、2009年の宝塚記念でした。買ったのはディープスカイ。前年のダービー馬が、ゴール前で伸びて、伸びて、3着。勝ったのはドリームジャーニーでした。ガラケーで撮った640×480ピクセルの写真しか残っていませんが、この日から阪神通いが始まりました。


桜花賞と、桜花賞お姉さん
阪神のGⅠで一番思い入れがあるのは、桜花賞です。理由は競馬とは少し離れたところにあって、学生時代にやっていた配達のバイトで訪れた先の、美人なお姉さん。「桜が綺麗ですね」という話をしたら、「花より団子もいいですけど、私は花より競馬、桜花賞ですね〜」と返してきたのが、忘れられません。あのお姉さんは今、どこで何をしているんだろうか。桜花賞の時期が来るたびに、思い出します。

2012年の桜花賞は、一眼レフを持ち込んでパドックに張り付きました。この年の勝ち馬は、10番ジェンティルドンナ。この後、オークス、秋華賞と勝って牝馬三冠、さらにジャパンカップでオルフェーヴルを破ることになる馬の、GⅠ初勝利の日です。



宝塚記念と、ルーラーシップ
エアグルーヴの子・ルーラーシップは、学生時代にいちばん追いかけた馬です。2011年の宝塚記念は3番。レースは振るいませんでしたが、パドックで撮った一枚は、いま見ても惚れ惚れする馬体です。


そして一番はまっていた2012年。この年の宝塚記念は、三冠馬オルフェーヴルとルーラーシップの対決でした。


結果は、オルフェーヴルの完勝。ルーラーシップは2着でした。惜しかった、というのが半分。そして正直、力の差を感じてしまったのがもう半分。それでも三冠馬との一騎打ちを目の前で観られたのは、幸運でした。
クリスマスの阪神カップ

年末の阪神カップは、クリスマスイブの開催。誘導馬の騎手も厩務員もサンタクロースの衣装で登場します。GⅠではありませんが、一年の締めくくりに欠かせないレースでした。


バイクで通う競馬場
当時の足はビッグスクーター。開催日には仁川のバイク駐輪場に停めて、そのまま入場門へ。この駐輪場が、実は密かな楽しみでした。

GⅠの日ともなれば、駐輪場には色とりどりのバイクがずらり。競馬場に来ているはずなのに、ついバイクを見て回ってしまう。展示会のようで、レース前の楽しみのひとつでした。
そして2011年4月、その駐輪場で一目ぼれしたのがこの1台。カワサキのZZR-400です。

この日から、バイト代を貯めること半年。その年の秋、同じZZR-400を自分のものにしました。競馬場で出会って買ったバイクは、その後の日本各地のツーリングの相棒になります。

静かな阪神競馬場(2021年10月23日)
それから9年。2021年の秋、コロナ禍で2年ぶりに日本へ一時帰国したとき、真っ先に向かったのが阪神競馬場でした。当時の中央競馬は事前予約の指定席限定で、入場できる人数もごくわずかです。

スタンドの上から見下ろすと、その静けさがよく分かります。広場に引かれた格子状の目印に沿って、ぽつりぽつりと人が立っている。学生時代、GⅠの日には身動きが取れないほどだったこの広場が、こんなに広かったのかと思いました。歓声のない競馬場というのは、不思議な光景です。


それでも、秋晴れの空の下で馬が走る姿を生で観られただけで十分でした。この翌日は、京都競馬場が改修中のため阪神で行われた菊花賞。ドゥラメンテ産駒のタイトルホルダーが逃げ切ったレースです。好きな馬なのに軽くしか買っておらず、万馬券を取り逃がしたのは苦い思い出。この一時帰国では、金沢競馬場にも足を延ばしました。
大歓声の阪神競馬場(2025年4月6日・大阪杯)
それから3年半。数年ぶりのGⅠ現地観戦に選んだのは、春の中距離王決定戦・第69回大阪杯でした。GⅠの日の指定席は取れないので、学生時代と同じく、ひとりで立ち見です。

入場門をくぐってパドックへ向かうと、人、人、人。2021年と同じ競馬場とは思えません。

驚いたのは、若い人が本当に増えたこと。パドックの最前列にも、スタンドにも、20代とおぼしきグループがたくさんいます。学生時代の阪神競馬場は、新聞を耳に挟んだおじさんたちの場所でした。ウマ娘の影響もあるのでしょう。
この年の大阪杯には、母系にエアグルーヴの血を引く馬が3頭も出走していました。3代母がエアグルーヴのステレンボッシュ、曾祖母がエアグルーヴのデシエルト、母父ルーラーシップのホウオウビスケッツ。学生時代に追いかけたルーラーシップの子が、同じ阪神のGⅠを走る。買わないわけにはいきません。



そしてレース。ゲートが開いた瞬間の地鳴りのような歓声に、生観戦の熱気はこんなに凄かったっけ?と鳥肌が立ちました。勝ったのは5番ベラジオオペラ、鞍上は横山和生騎手。前年に続く連覇で、勝ち時計1分56秒2はレコード。2着ロードデルレイ、3着ヨーホーレイクで3連単は30,910円。エアグルーヴの3頭は、そろって馬券圏外でした。

ちなみにこの日は、試しにChatGPTにも予想をさせていました。予算1万円の3連単フォーメーションで、気になる馬としてエアグルーヴ血統の3頭を伝えると、返ってきた印は◎ステレンボッシュ、○シックスペンス、▲ベラジオオペラ。当日の内枠・先行有利の傾向を根拠に連覇を狙うベラジオオペラを1着候補に加え、3着には実績馬のヨーホーレイクまで押さえてあり、結果の5→13→7はそのフォーメーションの中に収まっていました。血統ロマンに寄りすぎた自分の予想は撃沈。20年近い競馬歴とは何だったのか。
まとめ
学生時代にバイクで通った競馬場に、今はインドネシアから飛行機で通っている。がらんとした2021年と、歓声に包まれた2025年。同じ競馬場でも、人がいるかいないかでここまで別の場所になります。競馬場は、馬と人がそろって初めて競馬場になる。海外で客のまばらな競馬場をいくつも見てきたからこそ、満員の阪神競馬場のありがたさが身に染みました。
ルーラーシップが負けた宝塚記念から13年。その子や孫が走る大阪杯を、同じスタンドで観ている。距離は変わっても、ゲートが開く瞬間の高揚感は、あの頃と同じでした。

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