【京都競馬場 訪問記】人生初の競馬場、淀。旧スタンドの記憶と、生まれ変わった京都競馬場。

リニューアルした京都競馬場の新スタンドとコントレイル像 日本の競馬場

訪問:2009年1月(初訪問)、2011年11月13日、2012年10月14日、2019年10月27日、2023年5月20日

世界中の競馬場を巡る旅。今回は番外編、生まれ故郷・京都にある京都競馬場です。

京都競馬場は2020年11月から約2年半をかけた大改修に入り、2023年4月に新しい姿でグランドオープンしました。学生時代に通った旧スタンドの京都と、生まれ変わった淀。手元に残っていた写真をたどりながら、改修の前と後を歩きます。

京都競馬場について

京都競馬場は1925年開場。地名から「淀(よど)」の愛称で呼ばれ、菊花賞、天皇賞(春)、秋華賞、エリザベス女王杯、マイルチャンピオンシップと、春秋のGⅠが集中する西の主戦場です。コースは右回りで、内回り1周1,783m、外回り1周1,894m。最大の特徴は3コーナーにある高低差4mあまりの「淀の坂」で、「坂は緩やかに上って、ゆっくり下る」という騎手の格言で知られます。

そして淀といえば、内馬場の池。コースの内側に広がる大きな池と、その向こうの山並みが、この競馬場の顔でした。改修でスタンドは一新されましたが、この景色は残っています。

アクセス

京阪本線の淀駅で下車。駅と競馬場は専用の通路でつながっていて、改札を出ればそのまま入場門です。京都駅からなら近鉄で丹波橋へ出て京阪に乗り換え、大阪方面からなら京阪一本。関西の競馬場の中でも、駅からの近さは一番だと思います。

旧スタンド時代の京都競馬場(2009〜2012年)

初めての淀は、金杯から

初めて京都競馬場に行ったのは、2009年の京都金杯でした。京都競馬場どころか、人生で初めて足を踏み入れた競馬場です。出馬表を眺めて、その名前に惹かれて買ったのがコンゴウリキシオーです。金剛力士。強そうな名前に千円を託して、4コーナーのラチ沿いから観戦しました。結果は、まあ、名前ほどには。それでも、正月の淀の空気は、いまでもはっきり覚えています。

以来、金杯は正月の恒例行事になりました。2012年の京都金杯も、パドックに張り付いています。

2012年京都金杯のパドックを周回する馬とオッズ板
2012年1月5日、京都金杯のパドック
2012年京都金杯、パドックを周回するメンコをつけた馬

スノーフェアリーのエリザベス女王杯(2011年11月13日)

この頃、バイト代を貯めて買った一眼レフと望遠レンズを持って、競馬場に通うようになりました。2011年のエリザベス女王杯は、英愛オークス馬スノーフェアリーが前年に続いて来日した年。18番、ピンクのメンコの女王を、300mmで追いかけました。もちろん、この日の出走馬ではエアグルーヴの直仔グルヴェイグ(16番)にもレンズを向けています。

返し馬に向かうグルヴェイグ
返し馬に向かうグルヴェイグ
2011年エリザベス女王杯、ゲートを飛び出す馬群
ゲートが開く瞬間

結果はスノーフェアリーの圧勝で、エリザベス女王杯連覇。日本の牝馬を相手にしないその強さに、スタンドがどよめいたのを覚えています。

2011年エリザベス女王杯を勝ったスノーフェアリーと騎手
2011年11月、夕暮れの京都競馬場の旧スタンドと大型ビジョン
レース後、夕暮れの淀。旧スタンドの大型ビジョンのシルエット

ジェンティルドンナの秋華賞(2012年10月14日)

そして、旧スタンド時代でいちばん記憶に残っているのが、2012年の秋華賞です。桜花賞、オークスを勝ったジェンティルドンナが、牝馬三冠をかけて淀に来る。当時住んでいた西宮から、バイトの先輩と二人、バイクで京都まで走りました。

ただ、京都競馬場のバイク駐輪場は、入場門からずいぶん遠い。阪神なら停めてすぐ入場門なのに、淀は歩いて歩いて、ようやくスタンド。バイクで通うなら阪神、と思った日でもあります。

2012年秋華賞、本馬場入場する出走馬と京都競馬場の内馬場

レースは、ジェンティルドンナが直線で抜け出して快勝。桜花賞で写真に収めた馬が、半年後に三冠馬になる瞬間を、同じ一眼レフで見届けました。

2012年秋華賞、ゴール後に引き揚げてくる馬たち
2012年秋華賞を勝ったジェンティルドンナが、ファンの前を戻ってくる
ファンの前を戻ってくるジェンティルドンナ
2012年秋華賞、三冠達成のピンクのゼッケンをつけたジェンティルドンナ

この年の秋華賞のスタンドの熱気は、旧スタンドの記憶の中でも特別です。阪神競馬場の桜花賞から始まったジェンティルドンナの一年を、春も秋も現地で観られたのは、学生の特権でした。

改修前、最後の秋(2019年10月27日)

社会人になり、海外に出て、京都に来る機会はぐっと減りました。2019年の秋、久しぶりに淀を訪れたときは、指定席を取ってガラス張りのスタンド上階からの観戦です。

改修前の京都競馬場、ガラス張りの指定席からの眺め

机とモニターが付いた席から、コース全体を見渡せます。眼下には芝コース、内馬場の池、その向こうに京都盆地を囲む山並み。学生時代はラチ沿いで押し合っていたのに、ずいぶん贅沢な観戦になったものです。この日は特にこれといったレースがあったわけでもなく、のんびり半日を過ごしただけ。それがかえって、改修前の淀の空気を記憶に残してくれました。

改修前の京都競馬場スタンドから見たコースと内馬場の池

このおよそ1年後、旧スタンドは長い役目を終えて改修工事に入りました。改修中の2年半、菊花賞や天皇賞(春)は阪神競馬場での代替開催となり、2021年秋に阪神で行われた菊花賞をタイトルホルダーが逃げ切ったのも、その一つです。結果的に、この2019年の秋が、改修前の京都競馬場を訪れた最後の日になりました。スノーフェアリーとジェンティルドンナを観た旧スタンドの、見納めです。

生まれ変わった京都競馬場(2023年5月20日)

そして2023年。グランドオープンから1か月後の5月に訪れました。

リニューアルした京都競馬場の新スタンドとコントレイル像
新スタンドの前に立つコントレイル像

まず驚くのが、見た目の変わりよう。新しいスタンドは流れるような大屋根で、もはや競馬場というよりスタジアムか空港のようです。その正面に立っているのは、2020年に無敗の三冠を達成したコントレイルの像。三冠を決めた菊花賞の舞台がここ京都ですから、新しい淀の顔としてこれ以上ふさわしい馬はいないでしょう。

リニューアルした京都競馬場の芝生広場とスタンド

場内は全体的に芝生エリアが増え、家族連れがシートを広げてくつろいでいます。JRAが近年進めている「競馬場のイメージ刷新」を、さらに一歩推し進めた印象です。

パドック

リニューアルした京都競馬場の楕円形のパドック

京都名物だった真ん丸のパドックは、楕円形に生まれ変わりました。ジェンティルドンナを撮ったあのパドックはもうありませんが、スタンドの上の階からも見下ろせる造りで、奥には宇治・伏見方面の街並みが広がります。芝生に大きく描かれた「京都競馬場」の文字が誇らしげです。

レース

リニューアル後の京都競馬場でゴール前を駆け抜ける馬群
リニューアル後の京都競馬場、ラチ沿いを埋めるファン

スタンド前はラチ沿いまでぎっしり。コロナ禍の入場制限を知っているだけに、人で埋まったスタンドを見るだけで嬉しくなります。内馬場の池と、その向こうの山並みという淀の景色は、改修後もそのままでした。

気になった点をひとつ挙げるなら、スマートシート(指定席)の動線。席までの行き方が少し分かりにくく、不便に感じました。そして肝心の馬券は、かすりもしませんでした。

まとめ

コンゴウリキシオーの金杯から、スノーフェアリー、ジェンティルドンナ、そしてコントレイル像。改修前の重厚なスタンドには、自分の競馬の記憶が染み込んでいました。新しい京都競馬場は、明るく開放的で、誰を連れてきても楽しめる場所になっています。どちらが良い悪いではなく、両方を自分の目で見られたのは幸運でした。

海外の競馬場を巡っていると、閉場してしまう競馬場の多さに驚かされます。そんな中で、巨費を投じてスタンドを建て替え、若いファンと家族連れでにぎわっている日本の競馬場は、世界的に見てもかなり恵まれた存在だと思います。生まれ故郷の競馬場がその筆頭にあるのは、少し誇らしいことです。

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